2008年3月16日日曜日

村の小さなジャム工房。

私のブログに度々登場するサン・レジェという村。
フランスはブルゴーニュ地方にある、とても自然豊かなモルヴァン自然公園内にある小さな村。
かつてはそこそこ栄えていたようだが、今は午前中のみしか開いていない郵便局と小さな教会だけがひっそりと佇み、老人世帯の多いのんびりとした村。
その教会も随分前に火災で内部を焼失している為、年に数回行われる村の婦人会の時以外、扉は閉ざされたまま。
それでも教会の鐘の音は今も昔も変わらずに、村人たちに時を知らせてくれる。
ブルゴーニュ地方といえばワインで有名だが、この辺りはワインではなく酪農が盛んで、あちらこちらで高級牛である白いシャロレ牛が放牧されている。
そんな村のとある庭(残念なことに2001年末閉鎖)で、私は庭作りの手伝いをしていた。
ガーデニングというと優雅な響きだが庭を造るということはかなりの重労働を伴う作業で、でも体力や力のある私はとても楽しく取り組めた。
この村にはバスが通っていないので、休み時間や休日はもっぱら自分たちの足が頼りになる。
長靴を履いて山歩きにでかけたり、大きなザルをもって野生のミュール(ブラックベリー)を摘みに行ったり。
夜中の一番空気が澄んでいる時間に同僚ガーデナー達とごそごそ起き出して、キャンドル片手に庭に寝転がって流れ星や星座の観察をしたり。
田舎暮らしの醍醐味や料理の楽しさを知ったのは、この頃だ。
(それまでは料理が好き嫌い以前に全く興味がなく大の苦手だった。)
私の滞在していた庭から歩いて1時間位のところに美味しいと評判の小さなジャム工房があった。
聞くところによると星付きのレストランだかホテルだかに卸しているらしい。
その工房ではおじいさんがジャムを作っていて、銅製の大きな鍋が何種類も並んでいた。
ジャムの種類も豊富で、全てを快く試食させてくれたのだが、どのジャムもそれはそれは美味しかった。
中でも私のお気に入りはミラベルとルバーブだったのを覚えている。
今もたまにここのジャムを思い出し「あぁ食べたいな。」と思うのだが、工房の名前も何も分からない。
それにもう道のりすらも覚えていない。
いつの日か、できれば近い将来、夫とレンタカーを借りてこの地を訪れジャム工房を探したいなと思っている。
去年パリ滞在中、気になるジャムを見つけた。
(ボンマルシェやラファイエットグルメにて。)
もしかして...!?と思ったが、当時、工房で直接買ったジャムにはラベルが貼られていなかったのでラベルを見ても分からない。
確信は持てないが、住所と電話番号の局番から、あのジャム工房のものではないかと思われる。
何味にしようかと迷ったが、夫の好きなクレモンティーヌ(みかん)にした。
大切に1瓶だけアメリカに持ち帰ったが、味わうのは日本に帰国してからのお楽しみ。
美味しいバゲット、美味しいバターと共にこのジャムを塗りタルティーヌにしていただこう。
その時はもちろん、我が家のお気に入りVIRONのバゲッドレトロドールで。


そういえばバターで思い出したが、先日買ってみたKERRYGOLDのバターは、ちょっと期待はずれだった。
本当に発酵バターだったのかな?