2008年5月7日水曜日

モロッコ回想〜#1; Michel et Eric.

飛行機のタラップを降りると、もわっとした空気に包まれた。
初めてのアフリカ大陸。
入国審査を終え、空港の両替所で日本円¥をディルハムDHへと両替する。
大抵の国では空港で両替するとレートが悪かったりするのだが、モロッコは国内のレートが統一されている為どこで両替しても同じらしい。
(うろ覚えだが当時のレート;1DH=11euro / 1DH=¥15)
両替所に並んでいると、我が家の名前を書いたプレートを持った男性が目に入る。
短髪で小柄、粋な装いで、いかにもフランス男風の中年。
彼の名はエリック。
今回の旅でお世話になる宿泊先の家主だ。
両替を終え、彼の車に乗りマラケシュの旧市街にある宿泊先へと向かう。

かつてエリックは恋人のミシェルと南仏でレストランをしていたが、モロッコに魅せられ1年半前に恋人と共にこの地へと移り、南仏のレストランを処分したお金でこちらで古い邸宅を買い、それを改装しリアドを始めた。
リアドとは最近流行の邸宅ホテルのことで、とびきり素晴らしく至福のひとときが過ごせる極上ランクのものから民宿ランクのものまで幅広くある。
今回私たちが泊まるところは予算の都合上、民宿ランク。
ちなみにマラケシュの旧市街には無数のリアドが存在するが、そのほとんどはフランス人経営のもの。
聞くところによるとフランス人はエキゾチックなものに憧れを抱く人が多く、マラケシュはフランス人を始めヨーロッパ人にとても人気の旅行先であるらしい。

空港から10分程度で旧市街の入口へ到着。
旧市街の中の道は迷路のように複雑で、旧市街の中心に立つモスクが近寄ったり離れたり。ロバが荷馬車を引き、古いバイクが砂埃を立て通り過ぎる光景に目を丸くしながら心の中で期待と不安が入り交じる。なんだか私達の存在はこの景色の中ではあまりに浮きすぎている。
どれくらい走っただろう、小さな商店の脇に車を停め、外へ案内された。
リアドらしきところは見当たらない。
「少し歩くけど、もうすぐだから。」とエリック。細い迷路のような路地、すたすたと慣れた足取りで歩い行くエリックの後を小走りで付いていく。特に看板も目印もない細い路地を何度も右に曲がったり左に曲がったりして、ようやくリアドへたどり着いた。
隠れ家のような小さなドアを開け、階段を昇ると絵に書いたようなアラブの邸宅が広がった。中央は吹き抜けになっており上を向くと青空が広がっていて、それを囲むように部屋がある。部屋の扉は木でできており、窓には鉄細工の施された格子がはめられている。

部屋のデコレーションといいモロッコガラスでできたランプといい、なんともムーディである。
ただ気になるのはリアドの中に入っても部屋の中に入っても、室内にいるという感じがしないこと。

白い麻の服を着た可愛いらしいモロッコ人女性がいた。
この女性がエリックの恋人のミシェルなのだろうか、と余計なことを考えてるとエリックにとても似た雰囲気のフランス男が奥から出てきた。
このお方こそが、エリックの恋人ミシェルである。
なんともフランスらしい展開だ。
荷物を部屋に置き、屋上へあがると、モロッコ名物ミントティが振る舞われた。とても甘いミントティであるが、この気候そして疲れた身体にはちょうどいい。
モロッコの住宅、路地に面した壁には窓がなく扉だけがひっそりとあるのみで、とても厳重なように感じるが、屋根というか屋上は隣の家と続いており、しかも家の中央は吹き抜けなので泥棒が簡単に入って来れそうな造りだ。

毎日の朝食は屋上で。
絞り立てのオレンジジュースと自家製のヨーグルトがとても美味しかった。

そして、このリアドにはとても愉快な仲間がいる。犬のオリンピアと、

亀の○×△(不覚にも名前を忘れてしまった。)だ。

・・・つづく。
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※この「モロッコ回想」は不定期更新です。
次回をお楽しみに!